今回は物件の選定方法についてです。
・どんな物件を選べばいいの?
・一番重要なことは何?
・何か便利なツールはないの?
という疑問にお答えします。
最初に結論を言うと、一番重要なことは「数字」です。
投資、経営をする以上数字にはとことんこだわらないといけませんね。
よって今回は数字(収支シミュレーション)についての便利なアプリを紹介したいと思います。
わたくし1棟目を購入する前からダウンロードし今でも愛用しているとてもシンプルかつ過不足のない分かりやすいアプリです。
逆に言うとこのシミュレーションによって自身の数値基準に満たない場合は、その物件はあきらめる。
または、数値基準を満たすために、あとどれくらい物件価格が安くなればいいか、どれくらい金利が下がればいいか、どれくらい借入期間が延びればいいか、どれくらい自己資金を入れいればいいか・・・
などの指針を立てるにも非常に役立ちます。
慣れてくると、物件概要をみただけで収支イメージができるようになってきます。
そのような数値判断が瞬時にできるようになれば膨大な物件情報の中からの取捨選択も非常に楽になります。
その一次予選のような役目を担ってくれるのが今回紹介するアプリです。
アプリの紹介

アプリ名:不動産投資利回りシミュレーション
アイコン名:不動産利回り計算機
このアプリのいいところは
● 入力項目が多過ぎず、少な過ぎずちょうどよく見やすい
● シミュレーション結果に返済額や手取りについて年額だけじゃなく月額もある
(月額の方が実際の運営がリアルに想像しやすい)
● シミュレーション結果項目に返済比率がある
(計算が簡単なので省略されがちですがとても大事な数値なのであってほしい)
シミュレーションの実践
それでは、物件概要からミュレーションを実践したいと思います。
せっかくなのでわたくしの1棟目の物件内容で試したいと思います。
アプリの立ち上げ
ここからは、まずスマホアプリをインストールしていただいたことを前提といたします。

画面真ん中のアイコンをタップします。

このように
●物件価格情報
●資金計画
の大きく分けて2つのくくりで各入力項目一覧が表示されます。
それでは、上から順番に入力していきます。
“物件価格情報”について
ここは、不動産情報専門サイト(楽待、健美家など)や不動産業者から紹介してもらった物件概要をもとに入力していきます。
ここでは実際わたくしの一棟目を例にいたします。
「物件価格」の入力

物件価格は6500万円だったので、“6500”(万円)と入力。
「年間想定収入」の入力

表面利回り11%だったので、
6500万円×0.11=715万円
よって、“715”(万円)と入力
表面利回りとは満室想定利回りと言ったり、ただ単に利回りと言ったり、下記の計算式で求めることができます。
表面利回り〔%〕= 年間想定収入 ÷ 物件価格 × 100
「空室率と諸経費率」の入力
①空室率の入力

②諸経費率の入力

ここでは、空室率 10%、諸経費率 10%として入力しましたが、
空室率+諸経費率=20%となれば、空室率と諸経費率それぞれ何%でも構いません(例:空室率5%、諸経費率15%とかでもOK)。
多くの場合、空室損や諸経費を一つにまとめてただ単に“運営費”だとか“経費”とか言ったりします。
これも一概には何とも言えないのですが一般的にこの運営費率を20%として計算することが多いです。
書籍や実際不動産業者なんかも20%として計算することが多いです。
ただ、大規模なRC造(鉄筋コンクリート造)のマンションでエレベーターや受水槽、給水ポンプなんかある場合はもう少し多くなるかと思います。
ちなみに、わたくしの1棟目物件(軽量鉄骨アパート)は20%も運営費がかかっておりません(他のアパートも)。
ただ、ここはシミュレーションなので多少厳しめにストレスを掛けた方がいいところではあります。
“資金計画”について
ここからは、金融機関からの融資条件を入力していきます。
従いまして、あらかじめ自分がどの金融機関を利用するかを把握しておくことが必要になってきます。
例えば、
● 不動産業者に相談し自分が使える金融機関の融資条件を把握しておく
● 既に取引実績のある金融機関に相談し融資条件を把握しておく
● 自分で金融機関を開拓しその金融機関の融資条件を把握しておく
「自己資金」の入力

当時、フルローンでしたので、“0”(万円)と入力
「借入金額」の入力

ここは、物件価格 - 自己資金になるので、タップするだけで自動的に表示されます。
よって、物件価格6500万円 - 自己資金0万円 =6500万円なので
“6500”(万円)と自動表示されます。
「借入期間」の入力

27年でしたので、“27”(年)と入力します。
総返済額が大きくなっても、投資初期の頃はできるだけ長期にした方がいいとされています(月々の返済額がおさえられキャッシュフローが出やすいため)。
「借入金利」の入力

当時、3%でしたので、“3”(%)と入力します。
借入期間が長くなると、伴って金利も高くなる傾向にあります。
月々の返済額をおさえたい場合は、金利を低くするというより借入期間を長くした方が効果があります。
これで、すべての項目が入力されたので一番下の
『ご試算』
ボタンをタップします。
シミュレーション結果

続き画面

このような形でシミュレーション結果が表示されます。
それでは、「試算結果」について順番に説明していきます。
①返済額(月額)
結果:292,956 円
前述のとおり月額があるのがいいですね(多くのアプリは年額まで)。
実際の運営は、家賃収入が管理会社から毎月送金され、返済も金融機関から毎月引き落とされるので、月々の収支計画が想像しやすくなります。
②返済額(年額)
結果:351.55 万円
前述の返済額(月額)の12か月分になります。
③返済比率 ※重要
結果:49.17 %
これがあるのがいいんです!
返済比率[%]=月々(または年)返済額 ÷ 月々(または年)家賃収入 ×100
と簡単な計算式で求められるのですが、個人的にはこの返済比率を重要視しているのでこうやって改めて表示されることがうれしいです。
不動産賃貸業は、家賃収入から返済を引いた残りの額から管理料などの運営費を支払います。
よって不動産投資は、家賃収入と返済の差をいかに広げるかが要になります。
そういった理由から、この返済比率についての数値基準について、わたくしなりにこれまで様々な本や先輩投資家から得た情報をまとめると以下の結果になりました。
● 返済比率 40%以下・・・超理想
● 返済比率 50%以下・・・理想
● 返済比率 55%以下・・・許容範囲
実際、わたくしも経験してみて理にかなった数値ではないかと思います。
④返済総額
結果:94,917,744 円
借入額 6500万円に対してこの額というのは最初驚くかと思いますが、その代わり月々の返済がおさえられ月々の運営やキャッシュフローに余裕が生まれます。
仮に返済総額ができるだけ借入額に近い額にしたいとなると、金利を下げたり借入期間も短くすることになります。
そうなると今度は月々返済が上がり、そうなったら運営どころか返済するだけの経営になってしまいますし、マイナスにさえなりかねません。
金貸し業はうまくできているし、銀行は本来これが本業であり収入源なのです(銀行はただ単にお金を預けておく所ではない)。
また、これはあくまで30年間物件を持ち続け返済し続けた場合の額です。
購入した物件を借入期間ずっと同じ借入条件で持ち続けるって投資家は正直あまりいません。
売却、買い増しなどを繰り返しながら“パズル”のように物件の組み換えを行い、投資規模の拡大を図ったりします。
また何年か運用した後に、金利交渉や金融機関の借り換えなども行ったりします。

⑤家賃収入(年額)
結果:715 万円
これは、前段で入力した想定年間収入とイコールです。
⑥控除・諸経費(年額)
結果:143 万円
これは、⑤家賃収入(年額)×(空室率+諸経費率)で算出された額です。
⑦年間支出
結果:494.55 万円
これは、②返済額(年額)+⑥控除・諸経費(年額)で算出された額です。
⑧年間手取り
結果:220.45 万円
これは、⑤家賃収入(年額) - ⑦年間支出で算出された額です。
⑨月間手取り ※重要
結果:18.37 万円
これも返済比率と並びわたくしが重要視している数値です。
⑧年間手取り÷12ヶ月で算出されます。
わたくしが重要視している理由をあげると以下になります。
まず、1つ目は、
月々必要な生活費との比較材料になりやすい
ということです。
世の中の生活に関するお金の流れというものは、たいてい月ごとではないでしょうか。
給料、家賃、水道光熱費、通信費、保険料、ローン返済などなどほとんどがそうですよね。
なので普通に働いて日々生活を送っている人であれば自分が毎月いくら必要なのかをなんとなくでもイメージできてるはずです。
この月間手取りという数値は、自身の生活をイメ―ジするうえで重要な材料となります。
そうすれば、「あと~棟所有すれば生活費くらいはまかなえる」とか「あと~棟所有すれば月の給与を超える」などのイメージもしやすくなります。

次に2つ目は、
投資効率の判断基準になる(購入の手間とそのリターン)
ということです。
物件購入というのは、けっこう色々と手間が掛かります。
不動産会社へ出向いたり、現地調査へ行ったり、金融機関へ行ったり、役所へ行ったり、売買契約、金消契約、管理委託契約、火災保険契約、決済などなど、時には会社も休まなければならないくらいたくさんあります。

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物件が大きかろうが小さかろうが手間は皆一緒です。
手間をかけたあげく、もし仮に月間手取りが3~4万円とか5~6万円って聞いたらどうですかね。。。
最低でも10万円以上はほしいと思いませんか?
こういった理由でレバレッジ(テコの原理)の効かない区分や戸建投資を敬遠する投資家が多いのも事実です。
不動産投資の目的としてできるだけ早く会社をやめたいって人も多いかと思います。
そうなると、ある程度レバレッジをかけて効率よく月々のキャッシュフローを積み上げたいと思うのは当然かと思います。
そこで投資効率を考えるうえでわたくしがいつも物件購入時に念頭に置いている判断基準があります。
それは、2棟~4棟で月間手取り50万円を目指す というものです。
これを、1棟あたりに換算すると12.5万円~25万円ということになります。
この数値は決して楽でもなく、だからといって無理な数値でもない、これもまた非常に理にかなった数値だと実際経験して感じております。
これに関してはわたくしがとても影響を受けた下記の本に書いてあります。

⑩表面利回り
結果:11 %
これは、最初から分かっている情報なのでそのままです。
⑪実質利回り
結果:8.8 %
{⑤家賃収入(年額) - ⑥控除・諸経費(年額)}÷物件価格
で算出される数値です。
単純に表面利回り[%]から運営費率[%]を引いた利回りのことです。
⑫返済後利回り
結果:3.39%
一般的には税引き前利回りと言ったりもしますが、
⑧年間手取り÷物件価格
で算出されますが、よく2%以上で良しとされています。
⑬投資利回り
結果:0 %
自己資金(頭金)を投入してませんので、0%となります。
ただし、自己資金ゼロのフルローンだとしても不動産の購入経費(仲介手数料、税金、ローン事務手数料など)として一般的に物件価格の7%程かかります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
この中で個人的に重要視していただきたいのは、繰り返しになりますが、やはり返済比率と月間手取りです。
不動産投資は、この他にも積算評価、賃貸需要、立地、現地調査など色々検討事項はありますし最近ではそれらをも考慮した人工知能によるシミュレーションもあります。
しかし、それらは後にやればいいのです。
まずは最低限の数字基準をクリアできているかどうかが最優先なのです。
是非このアプリを使い倒していただき、物件概要を見ただけで儲かる物件、そうでない物件をかぎ分けられるようになっていただければと思います。
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